飲食店舗の移転・閉店・撤退に関するコラム詳細

飲食店舗を居抜きで売却する際の「査定」のポイント

飲食店業界で増加中の居抜き物件。まだ売る気はないけれど、内装工事にはけっこう費用をかけたから、高値がつくのではないかと思っている人もいるでしょう。あるいは、閉店を考えていて、とりあえず自店舗の価格が知りたいという人もいるでしょう。今回は、飲食店店舗の造作一式がいったいいくらになるかという「査定」に焦点を合わせてご紹介します。

オンライン査定をしてみよう

自店舗を居抜きで売却に出したときにどのくらいの価格がつくのかについては、誰しも知りたいところです。居抜き専門業者であれば、訪問すると無料で査定価格を算出してくれますが、わざわざ赴くのはおっくうに感じる人もいるでしょう。
現在は、オンラインでも店舗の情報を入れるだけで査定してくれるサイトがいくつもありますので、それらのサイトを利用する手があります。査定に必要な情報はサイトによって異なりますが、沿線名、駅名、駅からの距離(徒歩所要時間)、店舗のある階数、業態、坪数、施工費用、営業年数などを聞かれることが多いでしょう。
オンラインの査定も無料であり、査定結果もすぐに出るので、いくつかのサイトで査定してみると、自店舗の価格の目安が得られるかもしれません。
ただし、店舗の状況は一店一店異なるので、きちっとした査定価格が知りたい場合には、居抜き専門業者に直接連絡をして相談するのがおすすめです。

査定価格を左右するポイントは

オンライン査定の結果を見ると、予想外に低く、がっかりする人がいるかもしれません。営業年数が浅く、厨房機器が新しければ新しいほど査定が高いというわけではなく、また、内装工事に多額の費用を投じたから高価格がつくというわけでもないようです。それでは、何が査定価格に効いてくるのでしょうか?

立地

飲食店業の経営は、店舗の立地に大きく影響を受ける場合がほとんどです。実際に、店舗取得の際に、立地については慎重に考慮した人が多いでしょう。居抜き売買であっても、それは同じです。立地のよいところは高値がつき、立地が悪いと買い手が少ないため、安価になる傾向があります。

規模

店舗取得の際には、事業計画書にのっとり、適切な坪数の物件を探します。居抜きであっても、買い手にとって坪数は重要な条件です。飲食店業界に新規参入する場合には、開業資金が抑えられ、リスクも少ない小規模の店舗からスタートすることが勧められています。したがって、場所によっては需要の多い15~20坪の店舗が高めに査定される場合もあるでしょう。

形状

使いやすい間取りであるかどうかということも重要ですが、同じ坪数でも、席数がいくつ取れるか、間口が広いかどうかなども査定のポイントです。バーでは、雰囲気づくりに関わるため、天井の高さも評価の対象になります。

厨房機器や設備の内容

買い手にとっての居抜きの最大のメリットは、初期投資が少なくてすむことです。
例えば、15~20坪の店舗でスケルトン状態から飲食店用の電気工事をすると、80~100万円(照明器具代を除く)とする内装工事会社もありますが、居抜きであれば、コンセプトに合わせた照明器具への交換だけですむでしょう。同様に、飲食店に必要なグリストラップや排気ダクトも、すでに備わっていれば投資の必要がありません。したがって、どのような機器・設備が備えられているかは重要です。もちろん、機器や設備の種類や新しさも査定にまったく関係がないわけではありません。
注意しておきたいのは、高額な厨房機器、例えば、冷凍冷蔵庫、製氷機、コールドテーブルなどは、それらを買い取る専門業者がいますが、現金化できるというのでそちらに売ってしまうと、居抜き物件としての魅力が減ってしまうことです。買い手が決まり、不要な機器としての処分が必要になってから、買い取り業者を利用しましょう。

高い査定価格を得るためには?

売却するからには、できるだけ高値で売りたいものです。そこで、高値がつくポイントについてもご紹介します。

清潔感

飲食店であるからには、清潔感は重要です。
厨房機器や設備などの多少の外観のキズは査定価格に影響しないでしょう。それよりも、機器や設備の隙間にほこりがたまっていないこと、冷凍冷蔵庫やコールドテーブルの庫内がにおわないこと、設備の底面も掃除が行き届いており、さびが出ていないこと、グリストラップや排気ダクトも定期的に洗浄、清掃されていることなどがポイントです。
営業年数を重ねた店舗であっても、店舗の隅々まで清掃が行き届いており、厨房機器や調理台も磨き上げられているところは買い手がつきやすいものです。

厨房機器や設備の内容

その業種ならではの設備というものがあります。専門的なものが備わっている場合には、査定額が高くなるでしょう。ただし、メンテナンスがきちんとされていて、すぐにでも使用可能であることが重要です。

  • 焼き肉店:無煙ロースター、全自動石焼き機、排気ダクトなど
  • 中華料理店:10万キロカロリーの高火力ガスコンロ、ゆで麺機、蒸し器、餃子焼き器など
  • ラーメン店:スープレンジ、ゆで麺機、ラーメン釜など
  • 焼き鳥店:焼き台、ガステーブルなど

内見のときにはココに注意!

買い手候補者が店舗の下見に来るときには、好印象を与えるため、以下の点について気をつけるようにしましょう。

  • 店の内外を隅々まで清掃しておく
  • 調理台や棚の中を整理整頓しておく
  • フロアに余分なものを置かない
  • 照明をつけて明るい状態で見てもらう
  • 譲渡対象かリース物件か、区別して説明できるようにしておく

居抜き専門業者に任せるメリット・デメリット

居抜きでの売却を考える際、自分で買い手を見つけてくる方法もありますが、居抜き専門業者を通す方法もあります。良心的な買い主に心当たりがあったり、買い主を探すつてに困らなかったりするのでなければ、居抜き専門業者に任せる方がストレスなく売却できる可能性が高いでしょう。

メリット

  • 居抜きの場合には、物件の貸主・所有者に了承を得る必要があるが、その交渉を任せることができ、スムーズに了承を得やすい
  • 好条件の買主を迅速に探してもらえる
  • 買主候補の審査や内見の段取りを任せることができる
  • 譲渡契約書を作成してもらうことができるので、リーガルチェックのために弁護士や行政書士を探す必要がない
  • 譲渡契約の締結時に立ち会ってもらえる
  • さまざまなステップを代行してもらえるので、時間が有効に使える

デメリット

  • 仲介手数料がかかる

査定してもらいながら信頼できる専門業者を見つけよう

売却価格は、店舗の状態と買い手の状況によって決まりますので、どのくらいの価格で市場に出せるのかについては、居抜き専門業者に直接相談する必要があります。そこで、閉店を視野に入れている場合には、実績のある専門業者をいくつか当たってみるとよいでしょう。もちろん、居抜き専門業者ならばどこでもトラブルなく売却できるとは限りません。個別に問い合わせしたり、査定してもらったりすることに料金はかかりませんので、査定してもらいながら、経営の状況や、閉店後の希望などについて親身に相談に乗ってくれるところ、信頼できそうなところを探すとよいでしょう。
満足のいく売却のためには、物件の貸主・所有者との交渉や、解約予告通知のタイミングなども重要ですので、なるべく早くに居抜き専門業者に相談することをおすすめします。
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