飲食店舗の移転・閉店・撤退に関するコラム詳細

飲食店の「ノーゲス」とは?ノーゲスになったら何をする?

飲食店経営者ならば、一度は耳にしたことがある「ノーゲス」。ノーゲスの意味するところについておさらいするとともに、ノーゲスの日には何をすべきか、どんなことに気をつけるべきかなどについてご紹介します。

「ノーゲス」とは?

「ノーゲス」とは、「ノー・ゲスト」あるいは「ノー・ゲスト・デー」を短縮した言い方であり、一日を通してお客様の来店がまったくないこと、あるいはお客様の来店がまったくなかった日を指します。
お客様がゼロということは、売り上げもゼロ。売り上げがなくとも経費はかかるため、その日の収支は赤字になります。営業利益を確保するためには、ノーゲスが生じたら、そのほかの日でさらに売り上げなければならないことを意味します。
飲食店を経営するからには、ノーゲスは絶対に避けたいところ。しかし、ときにはノーゲスを経験することがあるのです。

「ノーゲス」になったら?

ノーゲスになるケースについて、以下の3つに分けて考えてみましょう。

(1)開店初期の「ノーゲス」

開店する際に、大々的な広告宣伝を行わなかった場合には、店が認知されるのに時間がかかるため、ノーゲスになりやすいものです。あるいは、開店当初は物珍しさでにぎわっても、しばらくたつと客足が減り、ノーゲスになる場合もあります。
いずれも、開店初期はメニューの組み立てやオペレーションに改良の余地があることが多いので、ノーゲスの日にはサービス改善に努めたり、じっくり従業員教育したりするとよいでしょう。家族や従業員にやってもらうことがないならば、店頭や駅前などでチラシを配ってもらうのもひとつです。
事前の市場リサーチの結果と実際の客層やニーズにズレもないようでしたら、ときがたてば店の認知が進み、固定客もつくと考えられます。運転資金と相談しながら、集客に努め、ノーゲス期間を乗り切っていきましょう。

(2)たまにある「ノーゲス」

大型台風が上陸したといったようなことで、ノーゲスになることがあります。ノーゲスの原因が明らかであり、店の問題ではないと考えられるのならば、経営についてあまり心配することはないでしょう。
ノーゲスの日には、たまっていた経理事務をしたり、在庫チェックしたり、隅々まで掃除したりするとよいでしょう。

(3)頻繁にある「ノーゲス」

ノーゲスが頻出したり、何日も続いたりするのであれば、店に問題があると考えられ、経営が悪化の一途をたどっているサインと考えなければなりません。
最初にすべきことは、ノーゲスの原因を考えることです。「景気のせい」のような曖昧なものではなく、客足の途絶え方は徐々にジリ貧になっていったのか、ある時期から急に減少したのか、客層・忙しくなる時間帯・出すメニューなどに変化がなかったか、そのころにメニューや原価率の変更、従業員数の増減などを行わなかったか、店舗近隣に変化がなかったかなど、さまざまな角度から詳細に振り返ってみましょう。
思い当たる原因が見つかったのならば、それに合わせた対策を考え、ノーゲスの状況を改善していきましょう。

「ノーゲス」の日に注意すべきこと

ノーゲスだからといって、従業員ともども、手持ち無沙汰にぶらぶらしているのはもったいないものですが、特に以下の点には注意しましょう。

いつお客様が入店しても差し支えがないように

店内にお客様がいないからといって、大声でおしゃべりに興じたり、だらしない格好でくつろいだりすることは避けましょう。店の外から店内の様子が見える場合には特に気をつけてください。テレビやスマホに見入っていたり、雑誌や新聞を読んでいたりする姿が見えるだけで、店に入るのをやめる人は少なくありません。お客様がいつ何時、ガラッと扉を開けても慌てなくてすむようにしましょう。

営業時間内は店を開けておく

営業時間ギリギリにお客様が来店される可能性はゼロではありません。店頭に書かれている営業時間とは裏腹に店が閉まっていては、店に対する信頼が大きく失われます。ノーゲスのように見えても、終業時間を早めることはおすすめできません。

「ノーゲス」になりそうな飲食店の特徴

一般的にノーゲスになりやすい飲食店には共通点があるようです。チェックしてみましょう。

外観から何の店か分かりづらい

お客様が紹介や口コミのみということであれば、ひっそりと隠れ家的な外観も魅力のひとつになりますが、通行人を対象にするならば、どんな飲食店であるのかがひと目で分かることが重要です。

入店を積極的に誘う店頭ではない

入ってみようかと気楽に思わせる店もあれば、入店しようとする気持ちが一向に湧かない店もあります。出入り口付近は明るく清潔であるようにしましょう。「ココにしよう!」と思わせられれば大成功ですが、少なくとも「ココはやめておこう」とならないようにしたいところです。

店舗内外に清潔感が足りない

飲食店である以上、清潔さは大切なポイントです。清潔を維持することだけでなく、清潔に見えるという点にも気を配るとよいでしょう。
そのほか、近隣の店の客足も途絶え、店舗周辺が寂れてきた状況もノーゲスになりやすいでしょう。

「ノーゲス」状況の打開が難しい場合には?

店舗周辺の変化や流行の変化などにより、提供メニューとニーズが合わなくなり、客足が途絶える場合があります。その場合に、メニューや営業時間帯の変更では、対応しきれないことはあるでしょう。そもそも明確なノーゲスの原因がつかめない場合もあり、持ち直すのが難しいこともあるのではないでしょうか。ノーゲスの状況で経営の立て直しがうまくいかない場合には、以下の2つの手が残されています。

店舗の移転

ターゲットとする客層が減少してしまったり、近隣一帯が寂れてきたりした場合には、より良い立地に移転することで経営を好転させられる可能性があります。移転と同時に、店舗の規模を縮小し、固定費を軽くして利益が出やすいように持っていくことも可能です。いっそのこと業種転換して、よりニーズの高い業種や得意分野に絞って、現状を打開することもできるでしょう。

店舗の閉店

飲食店を閉店させるためには、それなりのコストがかかります。赤字続きのまま経営を続け、大きな借金をかかえて店じまいというのは避けたいところです。したがって、万策尽きたと思ったら、まだ余力があるうちに、閉店を検討しましょう。
閉店コストのうち、大きな出費となるのが原状回復工事です。特に、スケルトン工事となると、坪当たり数万円かかる場合が多いでしょう。しかし、内装や厨房設備など一式を次のテナントに譲り渡す「居抜き」ならば、工事費が節約できるだけでなく、退去日まで払わねばならない空家賃も節約できる可能性が高いでしょう。譲渡費として入金があるのも、うれしいところです。ただし、「居抜き」での撤退を考えるのならば、物件貸主・所有者の許可が必要です。また、買い手も探さなければなりません。そのためには、資金的にも時間的にもまだ余力があるうちに閉店作業をスタートすることをおすすめします。
まずは、信頼性の高い居抜き専門業者を探すところから始めましょう。物件貸主・所有者や不動産管理会社との交渉から任せることができるので安心です。居抜き専門業者ならば無料で査定してくれますので、まずは相談してみて、自分に合う業者を探すとよいでしょう。

早めに対処が肝心!

お客様がひとりも来ないとがっくりするものです。しかも、ノーゲスになったということは、経営に赤信号がついたのかもしれません。ノーゲスがあればあるほど、利益率が下がっていくため、ノーゲスの理由を冷静に分析し、早めに対応することが大切です。