閉店の兆候をチェック!あなたのお店はいくつ当てはまる?
開店直後であっても、長年営業していても、経営不振による閉店は避けたいもの。今回は、閉店につながる兆候をいくつかご紹介します。当てはまるものがあった場合には、ぜひ対応策を考えるようにしましょう。
兆候1:広告宣伝が効果的ではない
お店の広告宣伝方法が適切ではないため、集客活動が効果的に行われていないと、経営不振につながったり、経営の立て直しがうまくいかなかったりします。
ホームページがない
何かの機会にお店の名前を聞いたとき、どんなお店か調べてみようと思う人は少なくありません。ホームページがあれば、見込み客に効率的にアピールすることができます。
グーグルの地図上にも店の表示があれば、近くを訪れた際に飲食店を探している人を取り込むこともできるでしょう。
反対に、ホームページもなく、グーグルの地図にも店の表示が出てこないということは、有用な集客手段を放棄していることになります。
現状において集客に苦労しているのならばなおさらのこと、インターネットを活用しなければ、新しいお客さまを誘引することは難しいでしょう。
グルメサイトを有効活用していない
グルメサイトに掲載していれば店の広告は十分というものではありません。店内の様子やおすすめ料理の写真が魅力的であることは必須です。利用目的を限定して店探しをしている人にもアピールできるよう、個室の有無、貸し切りの有無や、飲み放題プラン、パーティープランがあれば大きく宣伝しましょう。
看板設置で乗り切ろうと考える
来店客数が減ってくると、手っ取り早い集客手段として新看板の設置を考える人もいるようです。
大通りから見たときの店の視認性が悪いため、集客がままならないということであれば、通りへの看板の設置は有効に働くでしょう。
しかし、新看板の設置が常に来店客数の増加につながるとは限りません。看板を設置しても来店客数に変化がないと、せっかくの投資が無駄になるだけではなく、看板設置による近隣とのトラブルが発生という結果に終わることもあります。なぜ、現状では来店するお客様の数が少ないのか、よく分析したうえで新看板を考えましょう。
なお、道路へ立て看板を置きたい場合には、店舗のある自治体の屋外広告物条例を確認することをおすすめします。
兆候2:売り上げ管理が甘い
飲食店の経営の根幹は、売り上げ管理とも言えるでしょう。売り上げ管理がうまくいっていない場合の要因をいくつか挙げましょう。
原価率の管理が大ざっぱ
売り上げ管理に欠かせないのが、適正な原価率です。原価率を正確に把握していないと、売上高の割には利益が出ないという状況が起こりがちです。手数がかかっても、定期的に棚卸しをし、正確な原価率を算出しましょう。
注意したいのは、「オーバーポーション」や「アンダーポーション」が頻繁に発生している状態です。
従業員間で原価率の意識を徹底させ、繁忙時にオーバーポーションが起きないようにしなければなりません。ただし、「原価率は低ければ低いほど良い」と従業員に刷り込むのは避けましょう。アンダーポーションが起きると、お客様の満足度が低下し、客離れを起こしてしまいます。
また、「メニューが多すぎ」である状態も、原価率が高くなりがちです。よく出る傾向をデータに基づいて分析し、効率の良いメニューに絞るとよいでしょう。
また、営業利益と原価率にこだわるあまり、「料理のクオリティを下げる」結果に陥ると、客離れを起こし、閉店に直結することがあるため、気をつけましょう。
店内レイアウトに無駄が生じている
客席数を確保するために、4人掛けのテーブルを多く置いている店舗では、満席率が低くなっていることがあります。開店時には4人掛けテーブルで繁盛していた店舗であっても、「おひとりさま」という言葉が流行しているように、昨今はひとりで飲食を楽しむ人が増えており、相席を好まない人も多いため、満席率の低下が顕著な場合には、2人掛けやカウンター席の活用を考慮した方がよいでしょう。
兆候3:お客様へのサービスのクオリティが低い
飲食店が接客商売である以上、お客様に満足していただくことが、順調な経営に最も大切なポイントです。
オペレーション管理が悪い
料理提供までの適正な時間というものは、飲食店の業種業態によりますが、料理を待つ時間が長すぎると、再来店してもらうことが難しくなります。
開店直後で、オペレーションに慣れていなかったり無駄があったりする場合には、待たせたお客様にドリンクをサービスするなどして、気持ちよく帰っていただくようにしてみましょう。
従業員に突然辞められた場合には、メニューを絞ったり、オペレーションを工夫したりとすぐに対応するようにしましょう。
メニュー表示が間違っている
古いメニューをそのまま使っていたり、メニューボードを書き直していなかったりすることで、価格表示が間違っていると、お客様の心象が大変悪くなります。
値上げ等でメニューの価格を訂正する場合には、メニューを一新するようにしましょう。
売り切れ品が出た場合にも、即座に従業員全員と共有し、注文を取ったあとに「売り切れでした」とお客様に伝えることがないようにすることも大切です。
店内が汚い
飲食店の場合には特に、店内が汚いと忌避感を持たれます。トイレが汚れる傾向にある店舗は、営業中でも清掃を入れるようにしましょう。テーブルやカウンターの上だけではなく、椅子の座面も意外に汚れることがあり、お客様も汚れを気にする場所でもあるため、注意する必要があります。
兆候4:経営への姿勢に問題がある
経営者が投げやりになると、従業員のやる気もそがれ、客離れも加速します。
責任転嫁しがち
営業不振の原因について、現状を詳細に分析するのではなく、「客のせい」「従業員のせい」「天候のせい」などのように、ほかに責任転嫁する姿勢では、有効な対応策を打つことができませんので、遠からず閉店することになってしまいます。
同様に、ミスやクレームが発生した際に、従業員のせいにして怒るのでは、従業員のやる気もなくなってしまうため、気をつけましょう。
決断力に欠ける
これは好機、これなら大丈夫かもしれない、という機運があれば、さっと決断して実行しましょう。ダメなら、さっと見切って損失を防ぐというような決断力も、ときには必要です。特に経営状況が悪化してきた場合に、なすすべもなく手をこまねいているだけにならないようにしたいところです。経営がジリ貧な場合には、冷静な状況分析から始めましょう。
そのほかの要因(外的要因)
飲食店閉店につながる要因は、お店を取り巻く状況のなかにもあります。
食材の高騰
食材の仕入れ値は時期によって変動するものであり、特に野菜や魚は変動が大きい食材です。さらに、近年は「野菜の卸値価格が過去20年間において4番目の高さ」といったニュースを見聞きするほどになっています。農林水産省の野菜の価格動向調査を見ても、キャベツ、白菜、大根などは過去約2年間に平年比200%を超えている期間があります。
食材の高騰は、原価率の上昇につながり、経営を圧迫する材料となります。食材の値の動きに注意するとともに、メニューを変更したり、上手に値上げをしたりといった対策が必要です。
店舗周辺の環境の変化
経営が長期間にわたると、店舗周辺の状況が開店当時と変わってしまうことがあります。近隣に大きなショッピングセンターや学校施設、介護施設ができたり、大きな道路が通ったり、商店街が寂れたりなど、飲食店経営にプラスの変化もあれば、マイナスの変化もあるでしょう。それとともに、客層やニーズが変化してしまっていることがあります。
メニューを一新したり、広告手段を変えたり、また、ニーズに合わせたアピールポイントを創出したりして、変化に対応できなければ、かつては経営が順調であっても、いつのまにか赤字が常態化してしまうことも考えられます。
逆境はチャンスでもある!
経営不振に陥っているからといって、その状態に甘んじている必要はありません。経営不振の理由を冷静に分析し、挽回できる方策を練りましょう。例えば、食材高騰に嘆いているだけではなく、野菜高騰が話題になっているからこそ、野菜たっぷりのメニューで集客して成功している飲食店もあります。経営手腕を発揮するチャンスと考えましょう。
参考:食品価格動向調査(野菜)|農林水産省